「会社が倒産し、個人も破産した後、建設業許可は取得できる?」
「破産した後、いつ建設業許可を取得できる?」
とご質問を頂くことがあります。
結論からいいますと、破産後に免責(復権)となると建設業許可を取得できます。
破産すると、建設業許可をずっと取得できないと思っている方もいらっしゃいますが、免責(復権)すれば、建設業許可を取得できるようになります。
ただ、「実際に取得できるのがいつになるか?」「何か注意点はないのか?」と疑問が出てくるかと思います。
この記事では、破産した後に建設業許可を取得する際の方法や注意点などを解説します。
この記事は、役員一人で会社を経営していて、破産することになった方向けとなります。
建設業許可は破産しても免責されれば取得可能です!いつ取れる?
建設業許可は、破産手続きを開始した後、免責され復権すれば取得可能となります。
破産手続きの申し立てから免責(復権)までは、3ヶ月から6ヶ月ぐらいかかるようです。
破産の準備から建設業許可の取得までの期間は、半年から1年前後かかると思われます。
では、破産するとどうして建設業許可を取得できないのでしょうか。
理由は、建設業許可が取得するための条件の1つに役員の方が、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」に該当していないことが必要となっているためです。
第八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十四号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。
一 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
また、建設業許可を取得できるまでの期間については、免責・復権となると建設業許可を取得できようになりますが、一般的に破産手続きは、次のような流れになります。
裁判所に破産手続開始の申し立てをおこないます。
裁判所から免責決定がでます。免責決定が出ると復権となる場合が多いです。
破産手続きの申し立てから免責決定(復権)までは、3ヶ月から6ヶ月ぐらいのようです。
破産手続きの申し立てをおこない、半年後ぐらいには、建設業許可の申請ができる状態になります。
名古屋市での建設業許可の取得は、申請から許可まで1.5ヶ月から2ヶ月ほどです。
それでは、次に破産後に建設業許可を取得する2つの方法について解説します。
破産した後に建設業許可をとる2つの方法
破産した後、建設業許可を取得する方法は、「①免責・復権まで待つ」「②他の方と一緒に事業をおこなう」という2つの方法が考えられます。
①免責復権まで待つ
②他の方と一緒に事業をおこなう
それぞれの方法を具体的にみてきましょう。
①免責・復権まで待つ
破産後に建設業許可を取得する方法の1つ目は、破産手続きの申し立てをおこない、免責・復権なるまで待ち、建設業許可申請をおこなう方法です。
破産手続きの申し立てから免責・復権までは6ヶ月前後かかりますので、半年待つことになります。
1日でも早く建設業許可を取得したい場合は、建設業許可申請の準備をおこなうとよいです。
破産手続きを依頼している弁護士さんに免責・復権となる時期を確認し、免責・復権となる1~2ヶ月前から建設業許可申請の準備をしておくと、建設業許可を最短で取得できることになります。
②建設業許可の条件をみたす人と事業をおこなう
破産後に建設業許可を取得する方法の2つ目は、建設業許可の条件を満たす人と事業をおこなう方法です。
この条件は、「建設業に関して5年以上経営経験がある」というものになります。
建設業法
(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。建設業法施行規則
(法第七条第一号の基準)
第七条 法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
この条件は、建設業を5年以上個人事業主をしていたり、建設業をおこなっている会社の取締役(常勤)となっていた場合にクリアできます。
条件をクリアした方と一緒に事業をおこなう場合は、書類を揃えることができれば、すぐに申請可能となります。
「①免責・復権を待つ」に比べると再スタートができる期間が全く違いますね。
続いて、破産後に建設業許可を取得する際の注意点について解説します。
破産後に建設業許可を取得する際の注意点
注意点①取締役に就任する場合は慎重におこなうこと
破産手続きが終わり、免責・復権となり、取締役への就任を検討する場合もあるかと思います。
建設業許可においては、復権していますので問題ありませんが、融資を検討している場合は、顧問税理士さんや金融機関の担当者の方に、取締役への就任を考えている旨を事前相談したほうがよい可能性があります。
破産した取締役の方が在籍していると、融資がおりないことがあるためです。
融資がおりないと事業計画に支障が出ますので、慎重に進めて頂ければと思います。
注意点①建設業許可関係の書類を捨てないこと
建設業許可を取得していた会社が破産し、社長個人も破産する場合で、破産手続きが免責・復権となった後、建設業許可を取得する場合、原則として、建設業許可を取得していた当時の建設業許可申請書の控えが必要となります。
建設業許可申請書の控えを捨ててしまうと、建設業をおこなっていた経験年数を証明する書類を準備する手間が増えます。もしかすると、証明ができない場合も出てくるかと思います。
そのため、建設業許可を取得していた当時の関係書類は、全て保存しておくことをオススメします。
注意点②廃業届を提出すること
建設業許可を取得している会社が破産手続きをおこなう場合は、建設業許可の申請窓口に廃業届等の提出が必要となります。
破産手続きで忙しいと、建設業許可関連の手続きを忘れてしまう場合がありますので、必ず、提出しましょう。
破産した場合の建設業許可に関するよくある質問
- 建設業許可なしで個人事業をしてもいいのか?
-
破産した場合でも、個人事業主として事業をおこなっても問題ありません。
ただし、請負金額は500万円未満の工事となります。
- 会社を作ってもいいのか?
-
破産後でも会社を設立し、取締役になることは可能です。
- 専任技術者になれるか?
-
はい、問題ありません。
- ちょうど建設業許可の更新期限がもうすぐ来るけど、そのまま何もしなくてもいい?
-
更新期限がまだの場合は、廃業届等を提出してください。
- 他の会社の取締役はやめないといけない?
-
はい。やめる必要があります。
会社は取締役と委任契約を結んでいますが、委任契約は、「委任者が破産手続開始決定を受けたこと」で終了すると決められているためです。
やめた後、すぐに取締役として選任することは問題ありません。
建設業許可は破産後に免責となれば取得できる!再取得するための注意点も解説まとめ
建設業許可は破産しても免責・復権すれば、問題なく取得できます。
状況に応じて、自分一人で建設業許可を取得するか、他人と一緒に事業をおこなう2つの方法がありました。
その他、建設業許可を取得していた会社が破産する場合は、建設業許可を取得していたときの申請書類を捨てずに保管することなどの注意点について解説しました。